JR北海道は、2022年春に向けて検討を進めているダイヤ見直しについて、主な項目の概要を発表しました。
ダイヤ見直しでは、2021年度末までに予定している新車投入や、新駅開業の効果を最大限活用しながら利便性とサービスの向上に取り組むとしています。また、新型コロナウイルス感染症の拡大により利用状況の減少が続いている中、アフターコロナも見据えて需要の変化に柔軟に対応できる輸送体型を目指し、固定費削減を図るとも説明されています(路線図と主な取り組みは下図を参照)。
特急・普通を「261系」「H100形」で置き換え
札幌駅〜釧路間の特急「おおぞら」は、使用車両がJR北海道の標準特急車両であるキハ261系気動車に統一されます。各車両に設置された大型荷物置場や広い車椅子スペースのほか、携帯電話充電コーナーもあり、車内設備の充実が図られます。
これに伴い、6本運用されているキハ283系気動車はダイヤ見直しを機に「おおぞら」から離脱します。JR北海道では2代目の振子式特急車両で、車体を傾斜しながらカーブを通過できる特長が活かされ、かつては最高速度130km/hによる高速走行を自慢としていました。しかしながら、2011年(平成23年)に発生した石勝線トンネル内での同車両による脱線火災事故や、その後頻発した車両不具合を受け、安全性を優先する理由で最高速度は110km/hに抑えられています。1995年(平成7年)から63両が製作されましたが廃車が進み、現在は38両が在籍しています。
普通列車では、H100形電気式気動車が引き続き投入され、老朽化した国鉄時代からのキハ40系気動車を置き換えます。根室本線(新得駅〜帯広駅〜釧路駅間)では54本すべてがH100形に置き換えられます。石北本線(旭川駅〜上川駅間)では24本のうち、2021年3月13日のダイヤ見直しで2本がH100形化されましたが、今回の見直しでさらに19本が追加で置き換えられます。H100形には全自動冷暖房や車いす対応洋式トイレが備わっているほか、低床化によりホームとの段差が縮小され、快適性が向上します。
また、H100形化による動力性能向上と、行き違いを含めたダイヤの見直しにより、所要時間を短縮することも検討されています。根室本線では新得駅〜帯広駅間で現行ダイヤよりも5分、帯広駅〜池田駅間で3分、白糠駅〜釧路駅間で3分の所要時間短縮が見込まれています。石北本線では現行より4分所要時間の短縮が可能とされています(詳細は下表を参照)。
新駅「ロイズタウン」と移設「名寄高校」
札沼線(学園都市線)のあいの里公園駅〜石狩太美駅には「ロイズタウン」駅が開業します。ダイヤ制約のある中、全84本の列車のうち最大限となる約9割の列車が停車する計画です。
また、名寄市からの要望を受け、宗谷本線東風連駅が名寄駅方向に1.6km移設され「名寄高校」駅に改称して営業を開始します。現在、名寄高校までは東風連駅から1.5km、名寄駅から2.3km離れていますが、移設後の名寄高校駅からは約200mと近くなり、通学の利便性が向上します。名寄高校駅にはすべての普通・快速列車24本が停車する予定です。
そのほかの利便性向上につながる施策として、函館駅〜札幌駅間の特急「北斗」のダイヤ見直しによる、新函館北斗駅での北海道新幹線との接続時間改善が検討されています。対象は上下合わせて10本程度で、最大20分程度短縮される見込みです。
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